「精日(せいにち)」ってなんだ? いったい何が問題なのか?

「精日(せいにち)」という言葉があります。
中国で若者を中心に増えている「精神的日本人」ということらしいのですが、どうやら中国人でありながら、日本の文化を高く評価し、日本人の生活様式を真似するようになった人達のことを「精神的日本人(精日)」というらしいです。

日本的に言うと「日本かぶれ」ということですが、日本人にもいますね、「アメリカかぶれ」とか「フランスかぶれ」とか。
「アメリカかぶれ」なら、ファッションがアメリカっぽくなって、部屋の中もアメリカン。食べ物はハンバーガーやピザだったり、洋楽しか聴かなくなったり・・・
でも、これ別に何の問題もないと思いませんか?
個人的嗜好ですよね。

でも、中国国内で、日本のアニメを観て、気に入ったキャラクターのコスプレをしたり、日本のアイドルの曲を聴いたり、日本食が大好きだったり。
なぜこれが中国で問題になるのでしょうか?

実は、こういった日本のアニメや音楽、ファッションや食べ物が好きな中国人は「精日」ではないようです。
では、どんな人たちが「精日」なのか詳しく掘り下げ、「精日」の実態や、中国国内において「精日」の何が問題かということを調べてみました。

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「精日(精神的日本人)」の実態

「精神的日本人」とは

「精日(精神的日本人)」というのは、日本好きの中国人が作った言葉ではなく、これをよく思わない中国政府が、“レッテル貼り”のために作った言葉のようです。
では、どんな人たちを「精神的日本人」と呼ぶのでしょうか?

〇 精神的日本人である

戦前・戦中の日本、すなわち軍国主義的な日本に興味を持ち、旧日本軍人の軍服を好み、着用する人。

× 精神的日本人ではない

日本の漫画やアニメが好きで、日本人のファッションを真似し、日本食を好む人。

実際に事件がありました。

「精神的日本人」が問題となった事件

2018年2月、南京で旧日本軍の軍服を着て記念撮影をしたとして、中国人の男性2人が現地警察に拘束されています。男性はいずれも20代の若者らしいです。
南京といえば、日中戦争が勃発してすぐに「南京戦」の激戦地になった場所です。
しかも、南京戦で日本軍が占領した際、日本軍は30万人を虐殺したと中国政府が主張している地です。

広島の原爆ドームの前で、エノラ・ゲイ乗組員のコスプレをして記念撮影しても、一部のマスコミは大騒ぎするでしょうが、多くの日本人は無関心でしょう。
しかし、南京で旧日本軍人のコスプレをして記念撮影をしたら、国を揺るがす大問題になるかもしれません。
というか、なりました。
南京で旧日本軍人のコスプレをした精神的日本人の男性に対し、王毅外相が全人代(全国人民代表大会)に合わせた記者会見で、「中国人のクズだ!」とまで言っています。
そして、1か月もしないうちに、「精神的日本人」を罰するための新法「国家尊厳法」が提案されました。

「精日」がなぜ問題なのか?

中国にとって日本は?

では、中国政府は「精神的日本人」に対し、なぜ躍起になるのでしょう。
中国は1937年から1945年まで日本と戦争をしていました(日中戦争)。
(主に戦っていたのは台湾に追いやられた中華民国で、中国共産党はゲリラ戦などで参戦していた程度でしたが)
中国にとっては、今でも日本は敵国です。
表面上、仲良くしたり、距離を取ったりしていますが、これは戦後急成長して先進国の一員となった日本を利用するためで、根本的な部分では日本は敵国のままです。

中国は敵国・日本を利用してきた

そんな敵国の軍服を中国人が着て写真を撮ることは、中国政府にとって好い思いはしないでしょう。
しかし、反応の仕方が過剰じゃないですか?
敵国とは言っても、戦争には勝ったのですから。(中華民国が・・)
「なんで敗戦国の軍人の恰好してるんだ? 恥ずかしいから止めなさい」
で、好いんじゃないかとも思うのですが。

実は、中国政府は国民をコントロールするために、日本を利用してきました。
独裁国などのように強い政府が必要な国にとって、自国民をコントロールするために、敵国を利用することは常套手段です。
自国民の目を敵国に向けて、国民の怒りを政府や権力者に向きにくくしている訳です。
中国政府は、映画やテレビドラマなどで旧日本兵を鬼畜のように描くように仕向け、旧日本軍がいかに極悪非道の限りを尽くしたかを、国民に刷り込んでいったのです。
そして、今の権力者も若いころからそうやって刷り込まれていったので、「旧日本軍=極悪非道」ということが歴史的事実としてインプットされているのです。

そんな中で、旧日本軍を崇拝するように日本帝国軍の軍服を好む中国人が現れたことは、衝撃でした。

「精日」は正確な日本の情報を手に入れるようになった?

日本の漫画やアニメは多様性に富んでいます。
ファンタジーに富んだ作品もあれば、日本人の何気ない日常を描いたものもあります。
日本の歴史をテーマにしたものもあるし、旧日本軍が登場する作品もあります。
「艦これ」は、旧日本海軍の軍艦などが擬人化して美少女キャラクターとして登場しています。

日本の漫画やアニメが大好きな中国人にも、これらの作品は知られているでしょう。
そして、子供のころから教えられていた旧日本軍のイメージと全然違う「旧日本軍」と出会う訳です。
オタクと呼ばれる方たちのパワーはスゴイものがあります。
それは日本も中国も同じです。
そして、オタクたちは、正確な情報を手に入れたいという欲求が並外れているのです。

より正確な情報を手に入れて出来上がった「旧日本軍」は、中国のオタクたちにとって全く違ったものだったのでしょう。
旧日本軍の将校たちは、武士道精神を持ち、天皇陛下に対する忠誠心に溢れ、部下を思いやる気持ちを忘れない。という風に写ったでしょう。
旧日本兵も、その時代に日本の教育を受けて育った一般市民です。親孝行で、根は優しく、仲間思いな人も多かったでしょう。しかも、自分の命を惜しむことなく果敢に戦った方も少なくなかった。
そんな旧日本軍の軍人の姿は、賄賂や不正蓄財で私腹を肥やしている今の中国の政治家や人民解放軍の将校らとは、えらい違いに思えたでしょう。

「精日」が反中国分子になった訳

「精日」は多くの中国人にとっては、“けしからん”存在でしょう。
しかし、作り上げられたイメージは、正確な情報を武器にして、簡単に壊せてしまう可能性がある。
これを「精日」が証明してしまった訳です。

「旧日本軍=極悪非道」のイメージが壊れてしまったら、国民のほとんどが旧日本軍はそれほど悪くはなかったということを知ってしまったら、国民をコントロールすることが難しくなり、中国政府や中国共産党に国民の怒りが向けられた矛先をかわす手段がなくなってしまいます。
さらに、日本が中国に対し敵対するようなことがあれば、世界に対し「日本帝国主義」というキーワードを織り交ぜ声高に叫べば、日本は折れるとわかっていましたが、この手段の効き目が弱くなってくる可能性があります。

とういった訳で、「精日」をのさばらせておくと、中国政府にとっては都合が悪いのです。
そして、「精日」を反中国(反政府)分子として弾圧する動きに出たのでしょう。

「精日」は日本にとってプラス

「精日」は中国では弾圧の対象になってしまいましたが、まだ表に出ていない「精神的日本人」もいるはずです。
「精神的」日本人だから、「精神」だけが“日本人”で、何も他の人にアピールする必要がない訳です。
そして、これらの「“隠れ”精日」は、日本にとって大切にしなければならない存在です。
正確な情報を取得して、正確な日本や日本人のイメージを、少しずつでも中国に取り入れてくれるのですから。

日本政府は「Cool Japan(クールジャパン)」として、日本の漫画やアニメを海外に積極的に発信してきました。
それが、日本を敵国として見る中国に対しても、思わぬ形で効果を発揮していることがわかります。

今後はより正確な日本の情報を発信していくことで、反日国にいる「精日」を後押ししていくことが大切になるでしょう。